東京オリンピックから学んだ唯一のこと
東京オリンピックが終わりました。
皆様はどう感じられましたか?
随分と賛否のあった大会かと思いますが、私はどうしても純粋に楽しめなかったと言うのが本音です。
大会前にはオリンピックというもの自体に正直かなり腹も立っていましたし、今後も開催する意味があるのかというところまで来ています。
そういった中で、様々な意見や記事をみましたが日本経済新聞で連載されている「SPORTSデモクラシー」という記事が大変勉強になりました。
これは株式会社DOMEの安田社長が日本経済新聞に連載されている記事なのですが、この記事を色々な方に読んでもらいたいと強く感じました。
株式会社DOMEといっても、すぐにピンと来る方は少ないかと存じますが、超有名なスポーツブランドであるアンダーアーマーの日本総代理店です。
一流スポーツブランドを扱う会社の社長としての視点からこのコラムは非常に説得力があります。
特にオリンピック関連の記事は、知っておかなければならない情報で溢れています。
例えば、招致は出来なかったものの、2016年オリンピック招致の大会ビジョンは、東京は
「平和に貢献する大会」
「世界一コンパクトな大会」
というものでしたが、皆様すでにご存知の通り、実際招致に成功し、開催してみると
「世界平和も東日本大震災からの復興もどこかへ消え、打ち勝ってもいないコロナに打ち勝った証のオリンピック」
「コンパクトどころか、開催コストは過去の大会通じて史上最高額に膨れ上がる」
確かにここ数年で状況は大きく変わりました。
しかし、これが、誰がなんと言おうと、事実です。
そもそもオリンピックは「アスリートファースト」ではなく、「世界平和ファースト」です。
にも関わらず、大会前にはこの大前提を放ったらかして「オリンピックが開催されない場合、その補填はいくらで、誰がどう賄うのか?」という焦りしか、見えませんでした。
それもそのはず、収支面でいえば、組織委員が公表している東京オリンピック・パラリンピックの開催経費は1兆6440億円です。
そのうち7210億円を組織委員
そのうち7020億円を東京都
そのうち2210億円を国
それぞれ負担しています。
そうです、オリンピックを開催するにあたり1兆円近い税金が投入されていると言うことです。
しかも、組織委員の予算だけは原則として民間の資金、つまりスポンサー料やチケット収入、放映権料の一部などイベント収入です。
つまり中止になれば、それらすべてが未収入となれば数千億円規模のさらなる赤字が発生する可能性があったと言うことです。
このような流れを考慮すると、これ以上の損失をなんとか回避するためだけに強行開催したとしか思えません。
結果、アスリートは勝っても負けても、まずは通り一遍等の感謝の言葉を述べ、過去大会にあった名言と言われるような魂からの言葉はなく、
一方で、アスリートの過去の失態や過ちを責め立てたり、観客側の国民もどこか冷めた空気で盛り上がりの欠けた大会となったのではないでしょうか?
にも関わらず、大成功の大会だったと吹聴するわが国や東京、またIOCにはうんざりです。
いろいろな感情をお持ちの方はいらっしゃるのは理解していますが、私一個人の意見を述べるのであれば、このままであれば、オリンピックなんてものはこの東京大会以降、開催する価値がないと思っています。
少なくとも日本では未来永劫開催しないで欲しいです。
最近の東京のコロナ感染者数の増加は、オリンピックのせいかもしれませんし、そうでないかもしれません。
しかし、我々は今年もまたお盆の帰省を自粛しています。
アスリートの方はこの東京大会が一生に一度のチャンスだったのかもしれませんが、我々も同じです。一生に一回の2021年の夏だったのです。
我々の2021年の夏も自粛で終わります。2020年だってそうです。
この夏の帰省を逃したせいで、大切な方に最後に会うチャンスを逃した方も沢山いるでしょう。
リモート帰省でいいやん。と言う方もいるでしょう。
だから私も言うんです。じゃあオリンピックもリモートでいいやん。
ルームランナーで100mや、42.195km走ったらええやん。
サッカーやバスケットなんて3密スポーツは今はやめましょうよ。みんな頑張って3密避けようと努力しているんだから。
アスリートに限らず、誰かには自由が許されて、誰かには許されないなんて絶対に間違っています。
この東京大会からは、そういった不平等・不公平感というものを学びました。
人間なんてたかだか数十年の命。もうこんな思いするのはやめませんか。